経済産業省の調査によれば、大学の研究成果や技術などを基に起業する大学発ベンチャー(新興企業)の数が、2024年度は5,074社に上っています。前年度から786社増え、企業数、増加数ともに過去最多となりました。東京大学や京都大学などの難関大学だけでなく、地方の大学や私立大学の伸びが顕著で、新たなビジネスや雇用創出につながるかが注目されています。
大学別では、東京大学が468社(前年度比48社増)で最も多く、京都大学が422社(前年度比149社増)で続いています。一方、前年度からの伸びが大きかったのは、関西大学の5.2倍(9社から47社)、沖縄科学技術大学院大学の2.9倍(9社から26社)、神戸大学の2.1倍(55社から113社)で、地方大学や私立大学の躍進が目立っています。業種別に見ると、IT(アプリケーション、ソフトウェア)が1,592社で最も多く、バイオ・ヘルスケア・医療機器が1,434社、ものづくり(ITハードウェアを除く)が729社、環境テクノロジー・エネルギーが400社と続いています。
大学発ベンチャーは、大学の教員や研究者、学生らの研究成果や開発した技術を用いて事業化する企業です。起業支援を巡っては、政府が2022年にスタートアップ育成5か年計画を策定し、投資額を2027年度に10兆円規模に拡大する方針を掲げ、大学については1研究大学につき50社起業を目標に据えています。

(2025年6月26日 読売新聞)
(吉村 やすのり)