経営者の落選危機

 上場企業の多くの株主総会が、6月にピークを迎えています。今年は株主からの監視が一層強まり、経営トップに低い信任率が相次いでいます。三菱UFJ信託銀行の調べによれば、6月総会で株主提案を受けた企業数が前年比24%増の113社と過去最多になっています。

 経営者の落選危機は経営陣にとっては大ごとですが、株主にとって必ずしも悪い事態ではありません。経営陣が危機意識を強め、資本効率や企業統治など経営の抜本改革を促す契機になるからです。社長が落選危機に追い込まれるとその後の1年間、株価上昇が鮮明となっています。総会が緊張感をもたらし、企業価値を高める改革の契機になっています。

 安定株主が減って反対票が入りやすくなり、経営者はより敏感になっています。ガバナンス改革下の総会では、株主はトップへの反対票を通じ経営にノーを突きつけるようになりました。かつて無風だった総会が、ガバナンス改革の場として存在感を高めています。

(2025年6月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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