外国人材の受け入れ

 国立社会保障・人口問題研究所が2023年に公表した将来推計人口によれば、外国人は2040年頃まで毎年16万人程度増加していく見込みで、2067年には総人口の10%を超えると予測しています。出入国在留管理庁によると、2024年末の在留外国人は約377万人で、3年連続で最多を更新しています。昨年1年間で約36万人増えており、推計の2倍超のペースとなっています。

 少子高齢化による人口減少は避けられず、地方自治体は存続の危機にあります。外国人材の受け入れは、人口減少と地方の過疎化という危機に直面する日本社会にとって非常に重要な課題です。国が早急に基本理念を示し、地域主導の仕組みづくりを進める必要があります。

 欧米では、外国人労働者の受け入れは経済的にプラスになると考えられてきましたが、大量の移民・難民が流入し、社会との摩擦が増え、社会保障コストが上がったり、犯罪が増えたりするという不安や不満が噴き出しています。まだ外国人の割合が低い日本は、今のうちに欧米の経験から学びながら考え方を整理し、共生社会をどのように作っていくのかを議論すべき時期に来ています。

 外国人受け入れへの対応は首長の方針による面が大きく、地域で温度差もあります。言葉や文化の違いから摩擦が生じ、対応に苦慮している自治体もあります。外国人の持つ多様性を地域の活力に変えていく前向きな姿勢が必要となってきます。国が明確な方針を示し、司令塔組織を作れば、おのずと地方の対応も変わってきます。

(2025年6月26日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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