わが国の社会保障を取りまく環境―Ⅰ

社会保険料の負担率

 社会保険料の負担は増えています。大和総研の分析によれば、消費税が導入された1989年と2024年を比較すると、2人以上の勤労世帯の平均年収に占める税と社会保険料の割合は、20.0%(月9万3,533円)から24.9%(月14万4,478円)に増えています。2024年の平均年収の697万円でみると、年間の負担額は173万円にのぼっています。

 負担が増えたのは、税よりも社会保険料です。世界でも例を見ないスピードで少子高齢化が進み、高齢者の医療費や年金にかかる費用が大きく膨らんでいることが背景にあります。物価上昇を織り込んだ実質ベースでみると、社会保険料の負担額は35年前の2倍近くになっています。

 とくに所得の少ない世帯の負担が増しています。1989年は高所得世帯の負担率は高く、低所得世帯は低率でした。しかし、最近では低所得世帯の負担率が急増しています。収入に対して一定の割合を支払う社会保険料と、誰もが支払う消費税の税率が上がったことによります。

(2025年7月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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