精神障害者の就労支援

 厚生労働省の調査によれば、発達障害と診断された人は2022年に87万人と推計され、前回2016年の調査より39万人増えています。このうち79.1%が精神障害者として手帳を持っています。就労移行支援事業所を利用する発達障害を含む精神障害者も増えています。

 精神障害者の就労の増加に伴い、AIやDXの普及が、発達障害や精神障害を持つ人たちの雇用の可能性を広げています。先端AIのスキルを習得することで、対人関係や短時間しか働けない障害の弱点を克服することができます。特に発達障害にみられる高い集中力や好奇心と、デジタルスキルの相性の良さに着目した取り組みも広がっています。

 発達障害がある人達の特性が、デジタル技術との親和性が高いという研究もあります。一方で、高いスキルを身に付けても精神障害者の就職には特有のハードルがあります。コミュニケーションや、プレッシャーへの対応を苦手とすることが多いとされています。こうした背景を受け、AIのスキルに加えて就職に力を入れる就労移行支援事業所もあります。

 発達障害がある人の特性を、イノベーションや生産性向上に生かそうとする取り組みは、ニューロダイバーシティと呼ばれ企業の間でも広がりつつあります。脳や神経に由来する特性の違いを、多様性ととらえて尊重し、社会で生かすという考え方です。

(2025年7月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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