公共インフラの老朽化

 国土交通省によれば、法定耐用年数の40年を超えた水道管の割合を示す管路経年化率は、2022年度時点で2割超です。標準耐用年数50年を経過した下水道管は、2022年度末時点で全体の約7%で、10年後には約2割、20年後には約4割に増える見込みです。

 人口減に伴う料金収入の減少や、資材費の高騰で更新は進んでいません。上下水道管の総延長に対し1年間に更新された距離を示す更新率は、2022年度時点で水道が0.64%、下水道が0.15%にとどまっています。保守や点検を担う自治体の人手不足も大きな課題です。

 老朽化が進むのは水道管だけではありません。国土交通省によれば、2m以上の道路橋のうち建設後50年が経過していた橋の割合は、2023年に約37%でしたが、2030年には5割、2040年には7割を超えます。道路や下水道などを管轄するインフラの将来の維持管理・更新費にかかる国と地方自治体を合わせた費用は、2048年度までの30年間で、約194兆円と試算されています。人口減などで財政基盤の悪化が進む自治体では、十分な予算を確保できない事態も懸念されます。

 これからは人手やお金をかけないと決して持続できないという危機感を醸成すべきです。

(2025年7月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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