日本百貨店協会によれば、東京23区や大阪市など主要10都市の百貨店売上高は、2024年に約4兆5,000億円と2019年より1割弱伸びています。地方は、約1兆2,800億円と2割減で新型コロナウイルス禍前に戻っていません。

経営効率を試算すると、店舗面積当たりの売上高は2024年に10都市が1,444万円だったのに対し、地方は538万円と差は3倍弱に開いています。従業員1人当たりの売上高でも、10都市の平均月額1,173万円に比べて、地方は608万円と半分しか稼いでいません。地方百貨店の存続には経営効率の改善が急務です。

全国の百貨店数は5月時点で178店と、1999年のピーク時から133店も減少しています。百貨店の無い県は4県、あと1店しかないところも14県あります。異業種が地方の百貨店運営に相次いで乗り出し、ホテルの併設や客層の若返りを図っています。しかし、百貨店再生の成功例は実は少なく、築年数50年以上を経過した建物が多く、必要な建て替えや修繕に投資ができないケースも目立ってきています。

(2025年7月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)