厚生労働省のがん診療に関する検討会によれば、2040年に、がん手術を担う消化器外科医が約5千人不足するとされています。必要な医師数が確保できず現在提供できている手術を継続できなくなる恐れが出てきます。高齢化と現役世代の減少が進む中、長時間労働などを理由に、若手医師が消化器外科を避けがちなことが背景にあります。
2040年時点で新たにがんと診断される患者は推計105万5千人で、2025年の102万5千人と比べ約3%増加しています。85歳以上は2040年に25万8千人で、2025年の17万8千人から約45%増となります。需要は、初回手術を受ける患者数が2025年で推計46万5千人なのに対し、2040年は約44万人で約5%減ります。
一方、供給側の医師はこれを大幅に上回る速さで減少します。特に外科医の約7割を占める消化器外科では、日本消化器外科学会の所属医師(65歳以下)が2025年の約1万5,200人から、2040年に約9,200人へ約39%減少します。需給を単純計算すると、約5,200人の不足が見込まれるとしています。

(2025年8月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)