妊産婦の自殺

 警察庁の自殺統計によれば、妊産婦の自殺者が2022~24年の3年間で162人に達しています。10万出生あたりの妊娠中の自殺死亡率を年齢別でみると、20~24歳が7.5で最も多く、25~29歳が2.1、30~34歳が1.0、35~39歳が1.5、40~44歳が3.6でした。産後1年以内の自殺死亡率は、20~24歳が6.1、25~29歳が3.3、30~34歳が4.1、35~39歳が6.6、40~44歳が最も多く13.0でした。

 自殺の原因・動機は、妊娠中は配偶者がいる場合は家庭問題、配偶者がいない場合は交際問題が多くなっています。産後の原因・動機は、家庭問題と健康問題が多くなっています。家庭問題では子育ての悩み、健康問題では病気の悩み・影響(うつ病)がそれぞれ最も多くなっています。ハイリスクな人たちへの支援強化が大切となります。また、産後まもない女性が亡くなった場合は、家族など周囲への支援も必要です。

 妊娠中・産後は、心身や生活の変化などから妊産婦は不安や悩みを抱えることが多く、望まぬ妊娠をした妊産婦が、周囲の支援を得られず、孤立を深めることもあります。産後は10人に1人がうつ状態を経験するとも言われています。

 産婦のメンタルヘスをチエックする機会として、健診があります。産後2週間健診を実施している医療機関は、2017年の56.2%から、2025年は86.8%に増加しています。増加の背景には、健診費用を補助する自治体が増えています。しかし、補助が無い自治体では約6割しか実施されておらず、自治体によって差があります。

(2025年8月10日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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