公共の場で誰もが演奏できるストリートピアノが街なかに活気を与えています。7月時点で全国に724台設置され、イベントの集客や施設のにぎわい作りに一役買っています。ストリートピアノは、2008年に英バーミンガムでアートプロジェクトとして始まり、日本でも2010年代から徐々に導入が広がっています。設置数は直近の2年間だけでも15%増えています。
都道府県別設置率は、最も高かった秋田は10万人あたり2.1台と全国平均の3.6倍にのぼっています。次いで富山や大分、山形の順です。設置台数の全国最多は神戸市です。
住民の理解さえ得られれば、集客施設を開業するよりも費用対効果は高いとされています。誰もがピアノに触れられる場には、子どもの体験格差解消といった社会的意義もあります。街とピアノの共生へ、住民に寛容さを持ってもらえるよう自治体の取り組みが必要となります。

(2025年8月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)