インフラの老朽化対策においては、保守・点検などを担う自治体の人材不足も大きな課題となっています。国土交通省の資料によれば、全国の市区町村で働く土木部門の職員数は、ピークだった1996年の12万3,761人に対し、2024年は9万1,198人と、3割近く減少しています。また、土木や建築などの技術系職員が5人以下という自治体は全体の約半数を占め、1人もいない自治体は25%に上っています。職員の高齢化で退職者が増える一方、若い人材の確保や育成が進んでいません。
市区町村の土木費の総額も、ピークだった1993年度の約11.5兆円に対し、現在は約6.5兆円まで減少しています。こうした課題を解決する上で、ドローンやロボット、AIなどのテクノロジーを駆使した業務の効率化や省人化の取り組みに期待が高まっています。
インフラの点検などに何らかの新技術を導入している自治体や機関は約7割に上っています。しかし、町や村など規模の小さな自治体では、予算や技術者不足などの理由で導入が進んでいないケースも多く、こうした新技術やその効果を広く周知していく取り組みも大切となります。インフラの維持管理の市場規模は、国内だけで約5兆円に上るとの試算があり、今後も拡大することが見込まれています。
(2025年8月21日 読売新聞)
(吉村 やすのり)