病床数
2020年時点の人口1,000人当たりの病床数、主に急性期医療を提供する病床は、近年減少してきていますが、未だOECD加盟国の中で日本は最多です。
病床数が多い方が好ましいことと感じるかもしれませんが、そうとも限りません。なぜなら、医療の価値は、医療の質÷コストの方程式で考えることができるからです。医療の質は高ければ高いほど良いことは明らかです。しかし、提供する医療には様々なコストがかかっており、それが過剰になれば、質が高くても医療の価値は低下します。
病床数が医療に対する実際の需要よりも過剰な場合、病床余剰による収益の悪化や、在院日数延伸による医療従事者一人ひとりが対応する患者数が多くなることで負担増につながり、離職者の増加や病院経営の持続可能性に悪影響を及ぼす可能性もあります。その意味で、実際の需要に応じた病床数を目指す必要があるのです。

(Wedge September 2025)
(吉村 やすのり)