国に納める税の滞納が増えています。2024年度に新たに発生した滞納額は、前年度比24%増の9,925億円で、2021年ぶりの高水準となっています。物価高で企業の資金繰りが悪化し、消費税や法人税の納付が滞っています。
2024年度の新規滞納額で最も大きいのが消費税で、21%増の5,298億円と全体の半分を占めています。所得税は14%増の2,343億円、法人税は63%増の1,627億円でした。回収し終えたり回収不能と処理したりした金額は、9,488億円と24%増えたものの、新たに発生した金額の方が大きく、年度末時点の滞納残高は9,714億円と5%増加しています。残高が増えたのは5年連続です。
国税庁は滞納者の属性などを明らかにしていませんが、多くが中小企業とみられます。消費税の新規滞納の発生件数は64万件です。1件あたりの滞納額は平均約83万円で、売り上げ規模の小さい事業者が中心であることが分かります。
税の滞納が増えた背景に、物価高による仕入れ費用や人件費の上昇で中小企業の資金繰りが悪化したことがあります。東京商工リサーチによれば、2024年度の全国の倒産件数(負債額1,000万円以上)は12%増の1万144件で、11年ぶりに1万件を上回っています。件数全体の75%が負債額1億円未満の小規模倒産です。資金繰りが悪化した企業による税の滞納は、今後も増える恐れがあります。

(2025年8月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)