専門職大学の明暗

 専門職大学は、2019年度に新しいタイプの大学として創設されました。教育内容は、授業の3分の1以上は実習・実技、教員の4割以上は実務経験者、原則40人以下の少人数授業などの国の設置基準があります。国内の産業が発展し続けるためには、従来の大学教育だけでは限界もあるとして、理論と実践を行き来しながら、幅広い知識を実践的な力をつけていくための大学です。

 4年制の専門職大学20校のうち、公立は3校で、残る私立17校はいずれも、医療福祉やITの専門学校などを運営する学校法人が設置しています。産業界や地域と連携した実践的な職業教育を掲げて創設された専門職大学ですが、人気の明暗が分かれています。少人数授業や実習重視などプロ育成を目指した教育は高い評価を得る一方、知名度不足から学生募集に苦戦する大学も少なくありません。制度創設から7年目となり、苦戦する大学も出ています。文部科学省によれば、2025年度入試を行った専門職大学19校のうち6校は、入学定員充足率が100%以上だった一方、8校は7割未満でした。

 一方、全国から受験生が集まる人気校も誕生しています。兵庫県豊岡市の芸術文化観光専門職大学は、2021年度に開学し、80人の入学定員に対し志願倍率は毎年3倍を超えています。劇作家の平田オリザ氏が学長を務めています。豊岡市内を中心に開催される全国最大規模の演劇祭の運営や、地元・城崎温泉の宿泊施設での就業体験など、地域と関わる実習がカリキュラムに組み込まれています。

(2025年9月9日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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