AYA世代のがん患者支援

 AYA世代のがん対策は、2017~2022年度の第3期がん対策推進基本計画で新たな課題と位置づけられました。がん治療で妊孕性に影響が生じる患者もいることから、AYA世代の患者に対応できる医療体制や切れ目ない支援体制の整備などが進められてきました。

 がんと診断されるAYA世代の患者は、推計で年間2万人に達しています。国立がん研究センターが発表した患者体験調査報告書では、AYA世代特有の抱える課題がみられます。治療の金銭的負担で生活に影響があった人は、全体では24%である一方、若年患者では45%です。経済的影響の内容は、貯金を切り崩した、食費や衣料費を削ったが多くみられます。若年患者では、家族などに負担をかけていると思う人や、身体的・精神的苦痛を持つ人の割合が高い傾向がみられます。

 若い世代の患者さんは数が少なく、医療機関の中でも孤立してきましたが、ようやく体制作りが必要だという認識がなされてきています。治療前に妊孕性への影響について医師から説明があったという人は、若年患者の72%に達しています。また、担当医以外に相談しやすいスタッフがいたという若年患者は72%で、全体の58%に比べ高くなっています。多様なニーズに対応できるよう、医師だけでなく看護師や心理職、ソーシャルワーカー、ピアサポーターなどの多職種がつながって、患者を多面的にみる仕組みが広がっています。

(2025年9月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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