上場株の株式分割が2025年4~9月に124件と前年同期から2割増え、12年ぶりの高水準となっています。企業にとって個人が株を少額で買えるようにする狙いがあります。東京証券取引所は、企業に株式の最低投資額を10万円程度に下げるよう促しています。個人マネーが株式投資に向かいやすくなり、株価を下支えする可能性があります。
日本の上場企業株は、原則100株単位で売買されています。1つの株を複数に分けると理論上、1株の価値が下がります。株価の絶対額が下がり、投資しやすくなります。現在、上場株の最低投資額は平均20万円程度と、10年前に比べ約4万円安くなっています。
日本株の最低投資額は、欧米に比べてなお高価です。日本の上場企業株は購入単位が原則100株と定められているのに対し、欧米では1株から購入売買できることが背景にあります。個人の貯蓄から投資への流れを進めるには、売買単位の見直しも含めた最低投資額の引き下げが必要となります。

(2025年9月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)