教育訓練休暇制度の活用

 リスキリングのための教育訓練休暇制度が始まりました。雇用保険に5年以上加入していた期間があるなど一定の条件を満たす正社員やパートなどの労働者が、連続した30日以上の無給の教育訓練休暇を取得する場合、休暇前の賃金の5~8割の額の給付金を受けられます。雇用保険の加入期間に応じて、最大150日分が支給されます。

 対象となる教育訓練は、資格取得講座から大学・大学院、語学留学など様々です。労働者が受給するためには、企業が教育訓練休暇の制度を就業規則などで規定している必要があります。しかし、業務命令で資格を取得させるには活用できません。

 AIの発展や人手不足などを背景にリスキリングが注目される一方、休暇制度を設けている企業は少なく、導入している企業は7.5%で、導入を予定している企業の9.1%と合わせても2割に満たない状況です。導入予定がない理由としては、代替要員の確保が困難が46.3%で最多で、メリットを感じないが22.3%、有給休暇とした場合にコスト負担が生じるが13.1%です。

 給付金が企業の取り組みを促すかは未知数です。しかし、就職でキャリア形成の機会の有無を重視する学生なども増えています。リスキリングは、採用難や人材獲得競争が進む中、社内人材の高度化と生産性の向上につながるメリットがあります。

(2025年10月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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