厚生労働省は、介護施設の事業者に訪問介護への参入を促します。過疎地を中心とした全国約100の自治体は、訪問事業所が一カ所もない空白地となっています。全国1,741市区町村の約6%を占めています。そのうち8割ほどの自治体には、要介護認定を受けた人が通って食事や入浴などの支援を受ける通所事業所がありました。既存の通所施設が訪問介護も提供できれば、高齢者はサービスを利用しやすくなります。
訪問事業者の経営状況は厳しく、東京商工リサーチによれば、2025年上半期の倒産件数は45件でした。介護保険制度が始まった2000年以降で最多となっています。訪問介護の報酬は利用回数によって増減する出来高制です。人口減少が進む地域では安定した収益を確保しにくくなっています。
厚生労働省は、こうした地域にある通所施設が訪問介護の機能も担えるよう、アドバイザーの派遣や初期費用の補助を行います。事業を始めてから6カ月間、もしくは1カ月あたりの訪問回数が300回に達するまでの間は、訪問1回につき一定額を補助します。

(2025年10月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)