文部科学省が毎年実施する全国学力テストによれば、社会的経済背景が低層であれば、子どもの学力が低い傾向がみられます。テストを受けた小6と中3に、親の所得や学歴といった社会経済的背景(SES)の指標の一つとして自宅にある本の冊数を尋ねています。0~25冊(低層)、26~100冊(中層)、101冊以上(高層)の3グループに分けて、テスト結果と比較しています。
2025年度の調査では、算数の平均正答数は、低層の16問中7.9問に対し、高層は10.7問でした。数学では、低層は15問中6.2問に対し、高層は8.6問と、いずれも2問以上差がついています。国語、算数・数学、理科の3教科全てでSESが低いほど、正答率やスコアが低くなっています。
しかし、SESが低い層でも、授業では、課題解決に向けて自分で考え、自分から取り組んだと回答した子どもは正答率が高い傾向にあります。主体的に学ぶことで家庭状況にかかわらず、子どもの学力を引き出せる可能性があり、授業を工夫することも大切だとしています。

(2025年10月14日 読売新聞)
(吉村 やすのり)