4年制女子大の苦境

 女子大を巡る環境は、この四半世紀で激変しました。4年制の女子大はピークだった1998年度には98校もありましたが、2024年度は71校と、3割近く減りました。定員割れに陥る女子大が約7割に上るなど、志願者数の減少で経営が苦しくなり、共学化や募集停止に踏み切る女子大が増えています。

 共学化の第1波は2000~2004年度で、計12校が共学化しました。進学率の上昇に伴って大学の数が増え、学生の獲得競争が激しくなったことが背景にあります。また、女性の正規雇用が増えるなど働き方も大きく変わり、女子大に多い文学部などの人気が落ちてきたことも影響しています。

 現在は共学化の第2波が押し寄せている状況で、今後5年間で10校近い女子大が共学化を予定しています。これらの大学を見ると、地方や郊外の小規模な大学が多く、知名度や交通利便性、ブランド力を持った都市部の大学との二極化も鮮明になっています。

 少子化で18歳人口が減少するなか、高校生の半分にしか訴求できない女子大の厳しい状況は今後も続くと思われます。そのうえで選ばれる大学になるには、女性ならではのキャリア教育や就職の面倒見の良さ、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)に縛られない環境など、それぞれの特長や強みをアピールする経営戦略が必要となります。

(2025年10月17日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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