子宮頸がんを防ぐため小学6年~高校1年の女子を対象に定期接種となっているHPVワクチンの費用を、男子にも助成する自治体が増えています。肛門がんなど男性がかかる病気の予防ができるほか、パートナーへの感染を防ぐ効果も期待されます。
HPVは、子宮頸がんだけでなく、肛門がん、尖圭コンジローマなどの原因となるウイルスで、性交渉で感染します。ワクチンは国内で3種類が承認され、厚生労働省は最も予防効果が高いとされる9価ワクチンについて、8月に対象を女性だけでなく9歳以上の男性にも広げることを承認しました。男女ともに接種機会を設けることで、社会全体の感染拡大を抑止することも期待されます。
接種人数を増やそうと、米国や英国、フランス、オーストラリアなど多くの先進国で男性への公的接種を導入しています。日本でも厚生労働省の部会で、定期接種化について費用対効果などを議論中ですが実現の見通しは立っていません。東京23区では本年度から全区で全額補助、富山県滑川市と愛知県豊橋市では9月から9価ワクチンを補助の対象としています。接種率を上げるには、全額公費負担になる定期接種に移行する必要があります。

(吉村 やすのり)









