高齢者の服薬による有害事象

 高齢者は、薬の成分を体外に排出する機能が低下しています。複数の持病を抱え、様々な種類の薬を長期間飲んでいる場合も多いです。このため、服薬に伴う転倒や記憶障害、食欲低下などの有害事象が出やすくなります。東京大学病院の入院患者約2,400人を分析した研究によれば、6種類以上の薬を服用していると、有害事象のリスクが高まることが分かりました。

 こうした有害事象を避けるため、日本老年医学会は高齢者の安全な薬物療法ガイドラインを改定しました。高齢の患者に使われていることが多い睡眠薬や利尿薬などの中で、注意が必要な薬を特に慎重な投与を要する薬としてリストを掲載しています。

 医師の処方薬でも患者の心がけが大切です。調剤を受ける薬局を一つにしたり、処方された薬の情報を確認できるマイナ保険証を使ったりすることで、本人も医療者も注意すべき薬がないかチェックしやすくなります。本当に必要な薬か患者側が主体的に考えることも大切です。自己判断せず医師や薬剤師に相談しましょう。

(2025年10月19日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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