高血圧予防のための尿ナトカリ比の新指標

 日本高血圧学会は、2024年10月に高血圧を防ぐための新指標を発表しています。健常な日本人の目標値として、尿中のカリウムに対するナトリウムの比率を2未満に設定しています。平均は4とされ、値が低くなるほど高血圧のリスクが下がるとされています。ナトリウムの過剰摂取とカリウムの不足は、それぞれ独立して血圧を高めます。高血圧は、自覚症状がないまま動脈硬化を進行させ、心臓病や脳卒中などの重篤な合併症につながる恐れがあります。国民の3人に1人にあたる約4,300万人が患者と推計されています。

 主な予防策はナトリウムの摂取を控える食事管理ですが、近年はカリウムが豊富な食品の摂取を促す動きが目立っています。血管内の水分を保持して血圧を上げるナトリウムの排出を助ける働きがあります。高血圧の予防は減塩が最も効果的ですが、カリウムとのバランスを意識した献立も取り入れ、無理のない範囲で食生活を改善することが大切です。

 尿ナトカリ比を手軽に測定できる機器も開発され、健康診断などに導入する自治体が増え始めています。尿ナトカリ比を測れば高血圧のリスクを客観的な数値として評価でき、個人が食生活を改善するために役立ちます。しかし、病気を診断できる指標ではありません。

(2025年10月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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