人口流出が著しい地方都市で、女性による事業承継を促進する動きが出てきています。山陽地域では、ライバル同士だった地方銀行が連携し、跡継ぎは男性という無意識のバイアスを解消するために地域企業などに働きかけています。跡取りは男性という無意識のバイアスを取り除き、多様な選択肢を提示することが地銀の役割となっています。
一方で、女性が事業を承継する際に壁となる一つが名字です。2024年に婚姻届を提出した夫婦のうち、94.1%が夫の姓を選択しています。女性の跡継ぎは、父親など先代と苗字が異なる場合が多くなります。結婚や離婚で姓を変更する際に企業経営者として不便・不都合を感じた人は61.8%にのぼっています。公共機関や金融機関での手続きの手間やコスト、旧姓使用で生じる混乱などが理由に挙がっています。女性経営者のスムーズな事業継承のためにも、選択的夫婦別姓の導入が望まれます。
女性が継いだ企業は、従業員の意見を積極的に聞くボトムアップ型の改革が行われることが多く、働き方改革が進んだり男性育休の取得率が上がったりといった変化が起きています。

(2025年10月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





