卵などで起きる食物アレルギーは主に、特定の食品を摂取した直後に起こる免疫系の反応です。アレルギーの原因となる食品をごく少量摂取しただけでも、蕁麻疹、気道の腫れ、消化不良などの症状を引き起こします。人によっては、重篤な症状が現れる場合があり、アナフィラキシーと呼ばれる生命を脅かす反応を引き起こすこともあり、最悪死亡するケースもあります。
アナフィラキシーを引き起こす原因は、食品の中に含まれるたんぱく質の特定のアレルゲンです。鶏卵や牛乳、小麦や大豆、リンゴ、甲殻類など人によってアレルゲンは様々です。治療にはアナフィラキシーによって引き起こされる血圧低下や呼吸困難などの症状を一時的に緩和するエピネフリン(アドレナリン)注射薬が使われますが、根本的な治療法や治療薬はありません。
広島大学やキユーピーなどは、ゲノム編集技術を活用し、アレルギーの原因を除去した鶏卵を開発し、安全性の評価に取り組んでいます。腸には免疫細胞が多く存在しているため、腸内細菌のバランスを整えることで免疫反応の一つであるアレルギーを予防する研究も活発になっています。
(2025年10月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)







