授業料引き上げに踏み切る国立大が相次いでいます。来春からは埼玉大に加え、首都圏外の国立大として初めて山口大と名古屋工業大が引き上げます。物価や人件費の上昇に対応するとともに、教育・研究のDXや国際化は急務です。基盤的経費となる国からの運営費交付金は減少傾向が続き、足元では物価や人件費の上昇が追い打ちをかけています。法人全体の資金繰りが苦しくなってきています。
地方大は、全国各地で高等教育への進学機会を確保する使命などを背景に、引き上げに慎重にならざるを得ないという事情がありました。しかし、国立大を巡る状況は年々厳しくなっています。国際競争力の低迷が続き、教育・研究の水準向上は地方大学においても急務です。
欧米では、授業料を高く設定する代わりに、寄付金や基金の運用益などを原資に大規模な奨学金制度を設ける大学が少なくありません。学生の進学機会を確保するためにも、外部資金の獲得力を上げる必要があります。

(2025年10月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





