男女雇用機会均等法の成立から40年

 1985年の男女雇用機会均等法の成立から40年が経過しました。総務省の労働力調査をみると数値は確かに改善しています。15~64歳の生産年齢人口で女性の就業率は1985年は53.0%でしたが、2024年は74.1%です。男性の就業率の84.5%との差は10.4ポイントまで縮まっています。

 しかし、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数では、日本は148カ国・地域中118位と低迷し、G7では最下位が定位置になっています。健康が50位と教育が66位は他の主要国と遜色ないのですが、足を引っ張っているのが政治の125位と経済の112位です。経済では、管理職の男女比率と賃金格差がポイントを大きく下げる要因となっています。

 男性の賃金を100とした女性の賃金は2024年に75.8でした。格差は前年に比べ1.0ポイント縮小していますが、比較可能なOECD加盟の34カ国では、韓国、エストニアに次いで3番目に大きくなっています。非正規雇用の女性が多いことが背景にあります。パートや契約社員などの非正規は、女性従業員の53%にのぼっています。男性の2倍以上の水準で、正規雇用の割合は20代後半がピークです。その後は右肩下がりに下降するL字カーブを描いています。

 政策も従来の就業支援から、一人ひとりの仕事の価値を高める方向に力点を移していく必要があります。女性の仕事の幅を広げ、多様なキャリアを支えること、それが格差是正と社会全体の生産性の向上につながります。数から質の時代に変わることが大切です。

(2025年10月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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