老後移住の増加

 老後移住が活発になってきており、他の市区町村に移り住む75歳以上の後期高齢者は10年で3割増えています。特に生活が便利な都会に終の棲家を求める人が少なくありません。

 総務省の統計によれば、別の市区町村に住民票を移した後期高齢者は、2014年の14万7,000人から2024年は19万7,000人に増えています。65~74歳は横ばい、25~64歳は約1割減です。転入超過が最も多いのは札幌市で、2012年以降は毎年1,400人超です。続くさいたまや福岡、横浜の各市も2024年は500人超に上っています。相模原市や八王子市など首都圏郊外も同じ傾向で、比較的大きな都市が他の自治体から後期高齢者を吸い寄せる構図となっています。

 盛んになった後期高齢者の移住は、新たな街づくりの好機にもなり得ます。医療機関や介護施設、住宅などを集約できれば、都市機能の効率を高められます。介護事業者側にも人員を柔軟に配置することで、人手不足を緩和できるメリットがあります。一過性の需要を満たすだけでなく、世代をこえて住み続けられる街に育てていくことも必要となります。

(2025年11月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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