仕事に役立つスキルやノウハウを学び直すリスキリングは、企業がより大きな成果を生み出したり新事業に取り組んだりするために従業員を再教育するケースのほか、個人が主体的に取り組むことも含んでいます。政府にとっても成長分野への労働力シフトを促すための重要な課題となっています。
DXが進み、従来社員が担ってきた業務の自動化が急速に進んでいます。三菱総合研究所の調査によれば、デジタル化に伴う人材需要の変化で、2030年には雇用のミスマッチが450万人に達するとされています。事務職などが余剰となる一方、デジタル人材が不足する見通しです。人口減少で働き手が減る日本では、医療や福祉、物流など社会機能の維持に欠かせない産業でも、専門的なスキルを持つ人材をいかに確保するかが大切となります。
企業の競争力の源泉は生産設備といったハードから知識やノウハウなどのソフトに移行し、人材投資の重要性がより高まっています。政府は、労働者が学び直しのために連続30日以上の無給休暇を取得した場合に、賃金の5~8割を受け取れる教育訓練休暇給付金の制度を始めています。学び直しを後押しするには、企業の協力姿勢が不可欠です。

(2025年11月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





