障害を持つ人の働く場を準備するだけではなく、仕事のやりがいやスキルアップを重視する動きが広がっています。専門スキルなどの学びを経て、個人の強みを生かした業務に従事してもらうほか、適性にあった業務とマッチングする取り組みが出てきています。キャリアアップによって待遇が向上するなどのメリットも表れています。
障害者雇用については、働く場を確保するための量の拡充が重視されてきました。障害者雇用促進法で定められた企業が雇用すべき障害者の割合(法定雇用率)は、従業員40人以上の民間企業で現在2.5%です。2026年7月からは、2.7%に引き上げられる予定です。2022年には、雇用主の責務として、職業能力の開発及び向上に関する措置を求める法改正も行われ、質の向上にも注目が集まるようになってきています。
質を高める取り組みとして、個人の特性に合った企業・業務とのマッチングに力を入れる動きが出てきています。就労後のスキルアップを後押しし、キャリアパスを多様化させる企業も出てきました。企業がこうした雇用の質を高めるための取り組みをしているかどうかは、雇用率のような数値化した評価が困難です。質向上に向けた取り組みを進める企業へのインセンティブを設けるなどの取り組みも必要となります。

(2025年11月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





