日本は、今後大きく人口構造が変化し、必要な医療も変わります。生産年齢人口の減少が加速する一方で高齢者人口は増え、特に85歳以上は、2025年の707万人から2040年には1,006万人へと4割も増加し、高齢者の高齢化が進みます。85歳以上は要介護認定率が6割近くになるため、複数の慢性疾患を抱え、要介護で通院できない高齢者が急増します。
その結果、在宅医療や介護連携の需要が高まります。地域で救急やリハビリに対応できる病院の必要性が増します。高度な手術などを手掛ける急性期機能は、不足する医療人材も患者も集約した拠点となる病院が必要になります。
変化のスピードや医療事情は各地で異なります。地域ごとに各病院の機能を見える化し、役割分担や集約化を協議して体制整備を図ることが必要になります。これからの医療体制の構築に必要なのは、病院の統廃合など効率化だけではなく、地域に求められる医療をしっかり提供することです。需要が高まる在宅医療を担う総合診療医の育成も大切になります。人材を始め医療費源が分散したままでは、非効率なだけでなく質の高い医療が受けられなくなってしまいます。

(2025年11月16日 読売新聞)
(吉村 やすのり)





