間接産科的死亡
間接産科的死亡の原因の最多は循環器系の疾患で、感染症が続きます。循環器系の疾患には、心大血管疾患と脳血管疾患が含まれ、大動脈解離と出血性脳卒中が多くを占めています。頭痛や息切れ、倦怠感は、妊娠の生理的変化でよくみる症状ですので、間接産科的死亡につながる疾患の初期症状である場合もあることを認識しておく必要があります。
感染症はそのほとんどが劇症型A群溶血性レンサ球菌(GAS)感染症です。また頻度は多くないのですが、オウム病による妊産婦死亡の4例目の報告がありました。間接産科的死亡での自殺は、過去には報告のない年もありましたが、近年では継続的に報告がみられます。自殺の手段として縊頸が最多であり、自殺対策の観点から知っておく必要があります。

(母体安全への提言2024 vol.15 令和7年10月)
(吉村 やすのり)





