東京都の税収は年々増加しており、2025年度は過去最高の6.9兆円に達する見込みです。このうち地方法人2税(法人事業税、法人住民税)は2.5兆円に上っています。法人事業税は法人の所得などに応じて課されます。複数の都道府県に事業所がある場合、事業の規模などによって分けています。法人住民税は資本金などに応じて課され、本社や支店などの従業員数を考慮して分けています。都の2税は他の道府県と比べて突出しており、2023年度は日本全体の3割を占めています。大企業が集積する都に税収が集まりやすくなっています。
都は、都道府県で唯一地方交付税の不交付団体となっており、資金力は豊富です。総務省によれば、東京都が独自施策に使えるお金は1人当たり年28.1万円と、46道府県の平均7.8万円の3倍を超えています。財政余力を武器に、都は様々な行政サービスを打ち出しています。
人や企業が東京に集中する流れは続いています。都では、2024年に転入者が転出者を上回る転入超過が約7万9,000人に上り、47都道府県で最大でした。コロナ禍で広がった首都圏から地方に本社を移す企業の動きにも揺り戻しが起きています。生まれた場所で行政サービスに差が出る現状は是正する必要があります。地方も文化や自然など地域の資源に磨きをかけ、企業や人を呼び込む努力が必要になります。
(2025年12月11日 読売新聞)
(吉村 やすのり)







