世界幸福度報告書の2025年版で、日本は147カ国・地域のうち55位と、前年の51位から順位を下げています。日本は健康寿命は世界2位、1人あたりの国内総生産(GDP)は世界38位と高水準、一方で人生の自由度が79位や寛容さが130位などの順位が低くなっています。
米ハーバード大学などの研究チームが4月に公表した調査結果においても、調査対象の22カ国・地域中で最下位です。仏イプソスが2025年に実施した幸福度ランキングでも日本は30カ国中27位でした。賃金の伸びが物価上昇に追いつかず、男性の稼ぎだけで家計を支える生活モデルが厳しくなっています。仕事をする女性は増えましたが、家事負担は減っておらず、時間に余裕がない人が増えており、時間貧困で生活満足度が低くなっています。幸福度を上げるには、睡眠時間を長くし趣味や娯楽を楽しむ時間を確保することが有効です。
若年成人の孤独感は日本が突出しています。日本の若年成人の30%以上が、家族や友人など親しいと感じられる人がいないと回答しています。高齢化や晩婚化により、一人暮らしをする単独世帯も増えています。日本は誰かと一緒に食事をする頻度のランキングで、142カ国・地域のうち133位でした。孤独を解消し、幸福を感じられるようにするためには強固なコミュニティーづくりが大切です。

(2025年12月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





