世界終末時計は、核戦争などによる人類の絶滅を深夜0時を地球滅亡に見立て、核兵器の数や政治的緊張などを加味し、針を進めたり、戻したりしています。1947年の開始以来、針は18回進み、8回戻りました。進んだのはインドとパキスタンが核実験をした1998年などです。逆に戻ったのは、前年に冷戦が終結した1990年や第1次戦略併兵器削減条約が締結された1991年などです。
1947年に7分前で始まり、今年は、ウクライナやガザの戦争、気候変動などの懸念から、公表開始以来、残り時間89秒と針は最も滅亡に近づきました。しかし、諦めず耐え忍んで、針を戻すよう努力し続けることが大切です。戻り始めたら、滅亡に近づかぬよう世界中で針を抑え込んで、動かなくするということを、これからもやって行かなければなりません。

(2025年12月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)





