人口減社会における企業のあるべき姿

 人口減少は経済に深刻な影響を与えます。経済成長は資本の蓄積×労働力人口×トータル生産性で決まります。労働力人口に関係する生産年齢人口(15~64歳)は、今後50年の間に年間約60万人ずつ減ると見込まれています。若年人口の減少は高齢化と個人消費の減少をもたらし、国内需要の縮小は資本の蓄積などに影響します。人口減少はまたサービスの担い手不足などにより、インフラの社会基盤や社会保障にも大きく影響します。

 国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、日本の総人口は2100年に約6,300万人まで半減します。人口戦略会議では、6,300万人でなく、8,000万人国家を目指す人口ビジョン2100を2024年に公表しています。もはや人口増は望めないが、減少のスピードを抑える定常化戦略と、今より少ない人口でも活気のある国とするために生産性の向上を目指す強靭化戦略の両方が必要だと提言しています。

 過去30年間、企業は収益が上がった分を賃上げや国内の設備投資に使わず、もっぱら海外投資と自己資本比率の増加に使ってきました。物価や金利の上昇と労働力人口の減少は、企業に生き残りをかけた選別をもたらします。生産性向上のため、年功序列的な賃金体系の見直しや業務のデジタル化、新たな事業の創出などが求められます、

 人口減少への対策は自己変革を促し、個々の変革は社会変革につながります。人口減少対策は成長戦略と捉えることができます。企業の戦略としては、まず労働生産性の向上と労働移動の促進が必要となります。1人あたりのGDPの増加や、1人あたりの豊かさが求められます。企業もメンバーシップ型からジョブ型雇用の形態の移行を含む、数から質への転換が大切となります。

(2026年1月8日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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