日本経済新聞らの調査によれば、医師の30%が過去1年間に不要な入院を患者にさせた経験があると答えています。入院患者を担当している医師に限ると45%が不要な入院をさせた経験があるとしています。救命救急や集中治療など高度急性期の病床を主に担う医師は、あるとの回答が51%を占めています。外科手術など急性期の医師は47%でした。本来は切迫した治療のための病床なのに有効に活用されず、医療費膨張の一因になっています。
不要な入院をさせた理由としては、患者本人・家族の要望が49%で最多でした。病床利用率を高めるよう病院から指示が出ていたが40%で、病床利用率を高めたほうが良いと自分で判断したも26%に上っています。入院患者を担当している医師のうち、退院可能と判断できる患者の退院を延ばした経験があるのは43%に達しています。
厚生労働省によると2024年の病床利用率は平均77%で、新型コロナウイルス禍前の水準に戻っていません。病床が過剰だと、不要な入院や入院延長を通じて過剰に医療需要を誘発しかねません。OECDによれば、日本は人口1,000人あたりの総病床数が12.6床で、米欧の主要国より多くなっています。ドイツは7.7床、米国は2.8床、英国は2.4床です。平均在院日数も日本は各国の3~4倍の水準です。
厚生労働省の医療経済実態調査によれば、病院の2024年度の経常利益率は平均で3.9%の赤字でした。物価高などが経営を圧迫する中で、現場の医師に不要な入院を促す圧力が強まっている可能性もあります。医療費は膨らむ一方で、余剰病床の削減など医療の効率化は必須です。
(2025年12月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)







