これまでのピルは、合成エストロゲンとプロゲスチンという2種類の女性ホルモンが含まれていました。国内のガイドラインで、合成エストロゲンを含むピルについて40歳以上の場合は服用に注意が必要としていました。喫煙者や高血圧、片頭痛、血栓症などの持病がある場合も使用の制約がありました。
2025年6月にあすか製薬から発売されたスリンダは、血栓症のリスクとなるエストロゲン成分を含んでいません。年齢制限がなく、喫煙者や片頭痛などの持病があっても服用でき、吐き気の発現頻度も低いとされています。

日本の人工妊娠中絶の件数は減少傾向が続いていましたが、2023年度は22年ぶりに前年から増加しました。2024年度も前年を上回っています。出生数と中絶数の割合は、10代が最も高く20代前半、40代後半が続いています。

日本で実施されている避妊方法の1位はコンドームです。2023年の調査で初めてピルが2位になりました。それまでは不確実で失敗のリスクが高く、避妊方法として推奨されていない腟外射精が2位でした。日本では長らく男性による避妊手段が一般的でした。ピルは女性が主体的に選べるので、避妊を男性任せんにしないで済みます。しかし、ピルでは性感染症を防げず、ピルとコンドームを併用することで、避妊しつつ性感染症の予防も可能になります。

(2026年1月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





