糖尿病治療薬であるマンジャロは、米国のイーライリリーが開発し、国内では2023年に2型糖尿病治療薬として販売が始まりました。小腸から分泌されるホルモンの役割をまね、脳の一部に働きかけたりして満腹感をもたらします。マンジャロを含むGLP-1受容体作動薬は、2023年に米科学誌サイエンスの年間最大の科学成果に選ばれています。一方で膵炎や重篤な胃腸障害などの副作用もあるとされています。マンジャロがダイエットのために美容外科クリニックで適応外処方されています。
ダイエット目的での使用を受け、開発元のイーライリリーの日本法人なども危機感を示しています。昨夏には承認された方法以外での使用について、思わぬ健康被害が発現する可能性も想定されるとする声明を発表しています。日本医師会も、2023年10月にマンジャロを含むGLP-1受容体作動薬のダイエットへの利用を禁止すべきだという見解を発表しています。
糖尿病患者ではない女性のダイエット目的での利用は、低体重による将来の骨折リスクや月経不順、若くして筋肉が衰えるサルコペニア様状態になる危険性もあり、ダイエット目的でマンジャロを安易に使うことはリスクが大きいと指摘されています。
糖尿病治療薬であるマンジャロを自由診療で、ダイエット目的での処方を続ける医師がいます。こうした公的医療保険が適用されない自由診療に対しては、嘘や根拠がない広告などの医療法違反や治療による重い障害といった刑法の対象となる場合を除き、行政が医師を指導する法的根拠は少なく、処罰することはなかなか困難です。
(2026年2月17日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)







