脊髄性筋萎縮症の根絶

 全身の筋肉が衰える遺伝性のまれな難病である脊髄性筋萎縮症(SMA)の根絶が近づいています。患者の多くが2歳までに死亡していましたが、スイスのノバルティスの新薬などが治療を根本から変えています。しかし、その薬価は1億円を超えています。

 SMAは10万人に1人が発症する国の指定難病で、日本に推計約1,500人の患者がいます。運動神経に必要なたんぱく質(SMNたんぱく質)をつくる遺伝子に異常があり、飲み込みや呼吸まで難しくなります。重症型では人工呼吸器をつけなければ95%が2歳までに死亡するとされています。

 遺伝子治療薬のゾルゲンスマは、2020年に2歳未満という制限付きで日本で承認されました。ウイルスを使って不足する遺伝子を体内に届け、たんぱく質を補います。1回の投与で効果が持続するとされ、世界でこれまでに約4,000人の子どもを救っています。

 患者数が少ない希少疾患は、世界に7,000種類以上あり、うちSMAのように治療薬が存在するのは5%です。英エバリュエートは、希少疾患薬の市場規模が2030年には3,330億ドル(約50兆円)となり、全処方薬の5分の1を占めると予想しています。希少疾患は高額化する傾向にあります。それぞれの対象患者は少なく、創薬に最新の技術をつぎ込むため、製薬企業が収益を確保するには単価を上げる必要があるためです。

(2026年3月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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