DMAT隊数の不足

 DMATは、2007年の新潟中越沖地震で初めて本格的に被災地へ派遣され、2011年の東日本大震災では12日間で延べ383隊が活動しました。津波で負傷したり、低体温症となったりした被災者のトリアージを行い、救命治療にあたりました。被災した病院の入院患者を被災地外の医療機関に搬送したほか、避難所での被災者の体調管理なども担いました。2020年にクルーズ船で発生した新型コロナウイルスの集団感染で、乗客らを診察しています。2024年の能登半島地震では、過去最多の延べ1,139隊が被災地入りし、高齢者施設の入所者の避難を支援するなど役割が広がっています。

 2025年4月時点で、隊員1万8,909人、1,840隊が登録されています。読売新聞の調査によれば、大規模災害の発生初期に被災地で医療支援にあたるDMATの充足状況では、26道府県が隊数が不足していると回答しています。不足の理由としては、隊員の異動や退職による減少に養成が追いついていないとする声や、養成研修の受講定員が少なく、待機している希望者がいるとして厚生労働省に受講機会を増やすよう求める意見もあります。また、現場で隊員の指揮にあたるコーディネーターなどの資格の取得に時間や労力がかかることも課題です。

 発生が想定される南海トラフ地震では、被災地からの初期の派遣要請に対し、出動できる隊数は大幅に下回る可能性も指摘されています。派遣元の病院も診療体制を維持する必要があり、1病院で1隊の派遣が限界です。人材育成に加え、少ない隊でも現地で対応できるよう情報収集の効率化や福祉など、他の分野の支援チームと役割分担の明確化を図る必要があります。

(2026年3月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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