妊産婦の総睡眠時間は、初産婦では、出産直後から出産2週間までは総睡眠時間は3~4時間とかなり少ない傾向にありますが、その時期以外は、6~10時間の睡眠がとれています。既に子どもがいる経産婦でも、出産直後から出産2週間までは、総睡眠時間は5時間程度とやや少ない傾向にありました。経産婦は、出産直後から出産後2週間を除いても、妊娠期から出産後1年までを通して、総睡眠時間は6時間程度と少ない傾向にあります。
初産婦においては、初めての出産や母乳哺育による疲労が強いこと、また、妊産婦の産後2~6週頃までの期間における中途覚醒の増加および睡眠効率の減少は、育児技術の未熟さとの関連があります。さらに、初産婦は経産婦と比較して不安や心配ごとが多く、とくに出産後のストレス度が高いことも明らかになっています。初産婦は出産直後から出産後2週間までの期間、長い分娩時間や、出産直後からの夜間の頻回授乳を含む子どもの世話の多くを初めて経験することにより、睡眠時間および睡眠効率の減少を招いて、疲労やストレスを増大させていると考えられます。
妊産婦の昼寝時間については、初産婦においては出産直前から出産後2か月頃まで30分から2時間の昼寝をとっています。また、妊娠期においても昼寝時間をとっています。一方、経産婦は、妊娠期から出産後2週間頃までの期間、昼寝時間はほとんどとれていません。初産婦においては、非妊時より睡眠時間は少なくなる傾向にありますが、昼寝ができています。しかし経産婦は、家庭内に手がかかる年齢の幼児が存在している場合が多いことなどが原因で、睡眠時間が少ない割合が増加しています。
初産婦と経産婦では、睡眠の問題や睡眠時間が異なることも明らかとなっています。妊娠期のできるだけ早期から妊産婦に対する支援体制を整えるとともに、良質な睡眠が得られるようにメンタルヘルスに対するケアを行うことが大切です。
(月刊母子保健 第802号 令和8年2月1日)
(吉村 やすのり)







