出入国ギャップの現状

 日本を訪れる外国人と海外に出国する日本人の数のギャップが広がっています。2025年は訪日客が渡航者の2.9倍になりました。ビジネス出張が減り、円安の進行で日本人の内向き志向に拍車がかかっています。日本政府観光局によれば、2025年の訪日客数は2024年比で16%増の4,268万人で、2年連続で過去最高を更新しています。一方、日本人の出国者数は13%増の1,473万人でした。新型コロナ禍前の7割の水準にとどまっています。

 要因の一つは円安です。2022年1月に1ドル=115円前後だった円相場は足元で160円近くまで下落しています。為替要因だけではなく、総人口から年間の出国者数を割って算出する出国率を調べると、コロナ禍前の2013年からすでに低下傾向にありました。2025年の出国率は11.9%で、東アジアの韓国や台湾を20ポイント以上下回っています。日本人のパスポート保有率も、2025年末時点でおよそ18%にとどまっています。

 1980~1990年代に日本の技術力は世界をリードし、多くの企業が海外進出しました。好景気で海外旅行や留学もブームとなり、1995年までの10年間に海を渡る日本人は3倍に膨らみました。しかし、バブル経済が崩壊すると、失われた30年のもとで出国者数の伸びは止まってしまいました。

 日本からの出国の9割超が英語圏に向かいます。豪州が全体の半分以上を占め、カナダ、ニュージーランド、英国も人気です。中南米など賃金水準が低い国への渡航者は、年間20人前後にとどまっています。一方、ワーホリを利用して日本に来る人の国籍・地域は多様です。内向きで国際競争は戦えません。多様な国・地域に交わり、知見を磨き合う基盤が欠かせません。

(2026年3月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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