男性用避妊技術の開発

 米国コーネル大学の研究チームは、精子の生成過程のみを選択的かつ可逆的に遮断する技術をマウスを用いた実験で証明しています。これまでの男性ホルモンであるテストステロン抑制とは異なるアプローチであり、男性用避妊技術の開発に役立つものと期待されています。

 研究チームは、精子細胞が形成される減数分裂に注目しています。元々がんや炎症性疾患の研究のために開発された低分子阻害剤であるJQ1をマウスに使用しました。3週間薬剤を投与すると、メスと交配しても妊娠に至らず、効果が一時的であり、中止後に生殖能力が回復することも確認しています。正常な精子が生成されるまでに6週間、生殖能力の回復には約30週間を要します。回復後に誕生した子マウスにも異常は認められていません。

 今回提示された非ホルモン的かつ可逆的アプローチが成功すれば、男性用避妊市場は新しい局面に入ります。しかしJQ1の半減期が短く、神経学的副作用があるため、このまま避妊薬として開発するのは困難です。JQ1を用いて、精巣のみで発現している減数分裂初期に中心的役割を果たすBRDTというたんぱく質複合体の機能を、選択的に抑制することに成功しています。

(PNAS 2026 Vol. 123)
(吉村 やすのり)

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