人材派遣市場は年々拡大しています。人手不足を背景に、利用する企業が増えているためです。厚生労働省の調査によれば、2024年度の売上高は約9兆9千億円、派遣先の数は約86万件で、それぞれ5年前の約1.4倍、約1.2倍になっています。
派遣料金は、その社員に支払う賃金相当分が約7割、派遣会社の取り分であるマージンが約3割で構成されています。派遣料金が上がっている主な要因は賃金の上昇です。雇用形態の違いによる不合理な待遇格差を禁じる同一労働同一賃金のルールが2020年に始まったことに加え、最低賃金も年々アップしています。
マージンには会社の運営経費や利益だけでなく、派遣する社員の社会保険料、研修費なども含まれています。賃金の上昇に応じて社会保険料の負担は増加しています。雇用期間の定めがない無期雇用の派遣社員が増えており、派遣先が決まらない場合も給料を支払う必要があります。
派遣料金に関しカルテルを結んだ疑いで、公正取引委員会が人材派遣大手5社の立ち入り検査に乗り出しました。賃上げを背景に派遣料金が右肩上がりとなる裏で、大手が不当に利益を得ていた疑いが浮上しています。派遣料金が不当に引き上げられれば、派遣先が負担を負うことになり、商品やサービスの価格に転嫁される可能性があります。最終的には一般消費者が負担することになります。負担する派遣先が、派遣社員の人数を抑えることにつながる恐れもあり、派遣社員の働き口が失われる可能性もあります。
(2026年6月3日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)







