多死社会の進行

 国立社会保障・人口問題研究所が2023年に公表した将来推計では、標準シナリオとなる死亡中位で2025年の死亡者数は151万人になると見積もっていました。実際は158万人で、死亡者数を多く見込んだ死亡高位の161万人に近くなっています。死亡者数将来推計人口の標準的な見通しより7万人以上多く、多死社会は見立てより5年早く進んでいます。

 近年、平均寿命の延びが足踏み状態にあり、想定以上の死亡者数につながっています。男性の場合、2020年まで9年連続で長寿化が進んでいました。新型コロナウイルスの影響で、2021、2022年に平均寿命が縮みました。2023年は小幅の延びにとどまり、2024年は横ばいでした。2024年時点で2020年のピークに戻っておらず、女性も同じ傾向にあります。コロナ禍での受診控えで、結果的に持病が悪化した人が増えた可能性があります。死亡者数の増加ペースが予想以上に加速することにより、死亡に関する社会インフラの需要が想定より前倒しして増加し、看護師や介護士などの人材が足りなくなり、医療・介護資源の急激な逼迫を招く可能性があります。

(2026年7月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です