女性ホルモン製剤のリスクと副作用

わが国では、低用量ピルは1999年に承認されています。現在、100万人以上が使用しているといわれています。服用の頻度は欧米諸国に比べると10分の1以下であり、先進国の中では極めて低率です。反対に欧米に比較すると、人工妊娠中絶率は極めて高率です。月経困難症に使用される低用量エストロゲン、プロゲスチン配合薬(LEP製剤)は、成分が低用量ピルとほぼ同じであり、公的医療保険が適用されています。これらの薬に含まれる女性ホルモンであるエストロゲンは、血液を固まりやすくする働きがあり、時に血栓ができることがあります。

 これらの製剤を服用すると月経痛は軽減し、月経量も半分以下に減少し、LEP製剤のメリットには大きなものがあります。女性のQOLを考えると服用した方が良い薬剤です。しかし副作用もあります。海外の調査では、低用量ピルを飲んでいる女性が静脈血栓症になるリスクは、年間1万人あたり39人で、飲んでいない人の1~5人より高いといわれています。だが、もともと血液が固まりやすいとされる妊娠中の5~20人、出産後12週間の4065人に比べれば医師から説明される、血栓症の頻度は低いとされています。副作用による血栓症で死亡例がみられており、服用にあたっての注意事項を守るべきです。服用上の注意にあたっては明日説明します。

(2014年12月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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