相続土地国庫帰属制度とは、相続や遺贈で不要な土地を取得した相続人が当該の土地を手放し、預貯金などそのほかの財産は通常通り相続できる点が特徴です。売却したり貸したりすることが困難な土地の保有を続ければ、固定資産税や管理の手間・費用がかかるだけでなく、自分が死亡した後は子や孫に負担が残ります。必要な財産は相続しつつ、扱いに困る土地だけを切り離せるのは大きな利点です。
法務省の統計によれば、2026年6月末時点のこの帰属制度による引き取り件数は、全国で累計2,885件と1年前に比べ6割あまり増えました。引き取りの申請総数は5,698件です。申請を受理してから引き取りの可否が決まるまでの審査期間は8カ月程度が目安とされています。引き取った土地の種類では、宅地が全体の37%と最も多く、相続した実家を持て余すケースが多いことが背景にあります。次いで農用地の32%、森林の7%です。

引き取りを希望する場合は管轄の法務局に申請し、審査手数料として土地一つ当たり1万4,000円を納付します。書面審査を通過した土地を対象に原則として現地調査を実施し、承認か不承認を決め、承認されたら30日以内に負担金を納付し、納付を受けて土地の所有権が国に移転します。負担金は宅地や農用地で土地一つ当たり20万円が基本です。

(2026年8月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





