退職金制度の見直し

 国の中央労働委員会の調査によれば、定年時のモデル退職金は平均2558万8000円(大卒、総合職)に上ります。受け取り方は主に2つで、まとまった額を一度に受け取るのが退職一時金で、定額を長期にわたって受け取る方式が退職年金と呼ばれます。退職金制度を持つ企業のうち、約7割が一時金方式を取っており、約1割は年金方式を採用し、残る約2割が併用です。

 厚生労働省によれば、2023年は従業員1,000人以上の企業のうち、90.1%が退職金制度を有しています。2003年に比べると持たない企業が増えています。社員は毎月の給与を手厚くするか、退職金を多く受け取るかを自由に選べる企業が増えています。

 日本の正社員は、入社間もない若年期は貢献以上の高い賃金をもらっています。経験を積み能力が高まるミドル期は逆に貢献よりも安い賃金で働き、シニア期は貢献以上の高い賃金を受け取ります。賃金総額を会社との貸し借りでみると、若年期とシニア期は会社から借り受けて、ミドル期は会社に貸し付ける構図です。長期勤続者を優遇する退職金制度は転職希望者にとって魅力に欠けます。終身雇用が見直される中、退職金も時代に即した修正が必要となります。

(2026年8月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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