トヨタ自動車は、工場で働く約4万人の賃金体系を大幅に見直すとしている。少子化で確保が難しくなっている若手社員の賃金を手当の増額などで引き上げることにより、優秀な若手育成を図るとしている。年功部分の圧縮や能力重視の体系への変更で、若手への配分原資を捻出している。総人件費は増えることになるが、優秀な若手人材の確保が中長期的な競争力強化につながると判断している。こうした大企業の取り組みは、これまでの旧態依然とした年功序列による賃金体系を改める契機になると思われる。
勤続年数が長くなるに従って賃金が増える賃金カーブを見直して、若手への配分を増やすことになる。配偶者手当をすべて子ども手当に振り替えることも検討されており、子育て世代の配分を厚くすることも考えられている。能力給に相当する部分にも柔軟性を持たせ、役割や能力で支給額が上下する、インセンティブ部分を新たに設ける。同じ職場なら若手からベテランまで一括で評価する。また、団塊世代の大量退職に伴い、困難になっている若手への技術伝承を円滑にするため、60歳以降の定年後のベテラン社員の処遇も見直すとしている。
(2015年1月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)